出典 https://blog.mcneelamusic.com/
アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から「アイリッシュフルートのメンテナンス」についての解説記事を、許可を得て翻訳しました。
アイリッシュフルートのメンテナンス
すべてのフルートには、ちょっとしたお手入れが必要です。ポリマー製のフルートでも木製のフルートでも、適切なお手入れをしてあげることが大切です。手入れをすればするほど、フルートは長持ちし、美しい音を奏でることができます。
フルートのお手入れはとても大切です。適切にお手入れをしないと、音に影響が出てしまうことがあります。フルートのお手入れに関しては様々な神話がありますが、思ったよりも簡単です。
フルートのお手入れ方法
フルートを十分にメンテナンスするためには、フルートの内側と外側の両方を清掃する必要があります。フルートを演奏すると内部に結露が発生し、それが木材に染み込み、時間の経過とともに膨張や反りの原因となります。そのため、演奏後はフルートの内側を布で拭くことが大切です。
ほとんどのフルートには、先端に細長い穴が開いたクリーニング・ロッド(掃除棒)が付属しています。ボア(筒)の内側を掃除するには、きれいな布を小さく切って、掃除棒の先端にある穴に布を差し込みます。そして、その布付きの棒を使ってフルートの内部を掃除することができます。フルートのクリーニングに使用する布は、吸収性のある素材でなければなりません。私の個人的なお勧めは、コットンかシルクです。
徹底的にクリーニングするために、掃除棒と布をフルートに数回通して、すべての汚れが取り除かれていることを確認してください。ただし、注意が必要です。布が引っかからないように、また木の棒がフルートの内側を傷つけないように、優しく行うようにしてください。
木製フルートの場合、フルートが乾いたら、アーモンド・オイルを含ませた布でこすり、断面を見たときにかすかな光沢が出るようにします。
木製フルートのメンテナンスの「聖杯」
アーモンド・オイルは、木製フルートの手入れに欠かせないものです。食品店や化粧品店で購入することができます。量が多ければ多いほど値段も安くなります。アーモンド・オイルの代わりに他のオイルを使用してはいけません。
アーモンド・オイルは、フルートの乾燥を防ぎます。その結果、乾燥しすぎて木が反ったり割れたりすることによるひび割れの可能性を減らします。
ただし、一度に使用するアーモンド・オイルの量は少量にしてください。1~2滴で十分です。飽和状態にならないようにしましょう。
また、キーは非常にデリケートなので、注意が必要です。キー・パッドにオイルが付着しないように注意してください。コルクやジョイント部分にはオイルを塗らないでください(反りの原因になります)。少量のオイルを染み込ませた後、乾いた布でフルートの水分を拭き取ってください。
衝撃から守る
フルートを不要な衝撃から守る最も簡単な方法は、フルートケースに入れておくことです。ケースがしっかりと固定されていて、フルートがケースの中にしっかりと固定されていれば、木製、プラスチック製、布製など、どのようなケースでも構いません。
気をつけるべきダメージ
フルートの主な破損箇所は、ヘッドジョイントのコルク、チューニング・スライド、楽器のジョイント部、ヒンジ、スプリング、キーのパッド、フルート本体の木部です。
- 先に述べたように、フルートのボディは乾燥しすぎると割れてしまうことがあります。ここでは、アーモンド・オイルが救世主となります。もし、フルートにひびが入っていることに気づいたら、専門家に持ち込んで、損傷の状態を確認してもらい、専門的に修理してもらうことが大切です。
- チューニング・スライドは、動きやすいようにグリスを塗っておく必要があります。チューニング・スライドは、しっかりとしていますが、簡単に押し込んだり離したりできます。決して緩んではいけません。
- ボディの異なる部分の接合部は、乾燥したり反ったりすることがあります。コルクバインディングの過度な摩耗を防ぐために、コルクグリスを使用する必要があります。フルートを組み立てたり分解したりする際には、常にジョイント部分を丁寧に扱ってください。各部はしっかりと組み合わされなければなりませんが、力を入れてねじらなければならないほどではありません。
- 金属ピンやキーヒンジは、摩耗したり曲がったりすることがあります。スプリングは弱くなります。また、パッド自体も乾燥したり崩壊したりすることがあります。
絶縁テープ(ダクトテープやセロテープではありません)は、緊急時の一時的な修理に使用できますが、フルートにさらなるダメージを与えるよりも、専門家に依頼することをお勧めします。
キー・パッドのチェック
フルートのメンテナンスに気を配っている人でも、キー・パッドのチェックを忘れている人は多いです。
フルートのキーは、時間が経つと「ベタベタ」して反応が悪くなります。フルートのキー・パッドは非常に繊細なので、細心の注意を払って取り扱う必要があります。パッド・ペーパー(あぶらとり紙)を使ってクリーニングすることは可能です。クラシック・フルート奏者は、フルート・パッドの機能性と反応性を維持するために、この方法を採用しています。
やり方は簡単です。
- パッドとトーン・ホールの間にパッド・ペーパーを置く
- キーを押し下げ、キーを持ち上げる
- 紙を取り除く
キーを閉じたまま紙を滑らせて取り出そうとしないでください。パッドに傷がつく恐れがあります。
保管方法
- フルートは涼しくて乾燥した場所に保管してください
- 丁寧に扱ってください
- 定期的に点検してください
- フルートが破損した場合は、専門家に相談しましょう
禁止事項
- 水の中でフルートを洗浄しないでください。フルートに長期的なダメージを与えることになります。
- アイルランドの伝説にもかかわらず、ギネスやビールをフルートに注いで「割れ目を塞ぐ」のは最悪のアイデアです。水分が多いとフルートに悪影響を及ぼすだけでなく、フルートの中でイースト菌やカビなどのバクテリアが繁殖し、木材を侵食してしまいます。
- ひび割れを自分で接着しようとしないでください。プロであっても元に戻すのが難しいほどのダメージを与えてしまいます。