アイルランド音楽の伴奏


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から、ピアノやギターの「アイルランド伝統音楽の伴奏の基本を学ぶための便利なガイド」についての記事を許可を得て翻訳しました。

原文:Irish Music Accompaniment – How to Accompany Traditional Irish Music

アイルランド音楽の伴奏

アイルランド音楽の伴奏は、控えめに言って過小評価されているスキルだと私は思っています。伴奏は音楽アンサンブルの良し悪しを左右します。

良い伴奏者は、他の演奏者の演奏を引き立て音楽性を高めますが、悪い伴奏者は…誰もが一度は遭遇したことがあるのではないでしょうか? 大音量のバウロン奏者。4コードのギターを弾く不思議な人。無知な鍵盤奏者。これらは、アイリッシュ・セッションで隣に座りたくない人たちのほんの一部です。

では、伝統的なアイルランド音楽の世界に足を踏み入れたばかりの人がこのような恐ろしいミュージシャンにならないためにはどうしたらいいのでしょうか?

そこで今回は、アイルランド伝統音楽の伴奏の基本を学ぶための便利なガイドをご紹介します。伴奏楽器には様々なものがありますが、今回は最もポピュラーな(そして私に最も問い合わせの多い)ピアノとギターの2種類に焦点を当てました。それぞれの楽器の基本的な使い方や、独特の演奏スタイルについて一緒に考えていきましょう。アイリッシュ・ミュージックの伴奏の注意点を学びたい方は、さっそくご覧ください。

良い伴奏者とは?

すでに述べたように、良い伴奏者は他の人の演奏を引き立てることができます。そのためにはどうしたらいいのでしょうか? 良い伴奏者には4つの重要な要素があります。

  • 和声に対する理解
  • 曲中の和声の変化を識別する音楽的な耳
  • 曲のメロディーと構造の知識
  • 他のミュージシャンの演奏を聴くことができること

鍵盤とコード進行の理解

きっとこう思うのでしょう? 「伝統的なアイルランド音楽は聴いて覚えるものではないのですか?」 確かに、アイリッシュダンスの曲のメロディーは、世代から世代へと聴覚的に受け継がれてきたものです。しかし、アイルランド音楽の伴奏は、他のジャンルの音楽と同様に、音楽のキーとコード進行を理解する必要があります。

もしスケールとアルペジオを知らないのであれば、音楽理論の本を開いてみる必要があります。心配しないでください、思っていたほど難しいことではありません。自分の演奏がなぜうまく聞こえるのか、聞こえないのか、その理由を深く知り、理解することは、伴奏者としてだけでなく、あなたの音楽性、音楽性全般に素晴らしい効果をもたらすでしょう。

調性を特定する

アイルランド音楽の伴奏の理論を理解したら、次はその知識を生かす番です。最初は、曲の調号や調性を認識し、特定するのが難しいかもしれません。

ここで少し複雑なのは、伝統的なアイルランド音楽にはモードが使われていることです。調性に関して言えば、音楽家は音楽をメジャー(幸福で明るい)、マイナー(不機嫌、緊張、悲しい)と呼んで単純化する傾向があります。このメジャーキーとマイナーキーは、実はイオニアンモードとエオリアンモードという2種類のモードに過ぎません。西洋音楽理論では、全部で7つのモードが存在します。

モードとは何か?とても簡単なことです。モードとは、メロディやハーモニーに個性的な特徴やルールを持つ音階のことです。例えば、ある曲を聴いていて、その曲がニ長調なのかト長調なのかよくわからないとすると、実はDミクソリディアンD mixolydianというモードである可能性があります。

ミクソリディアン・モードは、アイルランド音楽の特徴的なサウンドを印象付ける♭7th(減7度)を備えています。“The Holly Bush”という曲は、ミクソリディアン・モードで演奏されるアイルランド音楽の一例です。アイリッシュ・ミュージックのセッションで頻繁に演奏されるこの人気のリールは知っておいて損はないでしょう。

アイルランド音楽の伴奏者がオープン・コードを好んで使うのは、このような理由からです。オープン・コードとは、コードの3rd (3度)の音を省略したコードです。3rdは、コードがメジャーかマイナーかを決定するものです。3rdがないコードは、メジャーでもマイナーでもなく、より曖昧なサウンドを作り出します。この曖昧な音(メジャーでもなくマイナーでもない)を、伝統的な音楽家はしばしば「モーダル」と呼びます。

アイルランド音楽の演奏者はその曲が何モードなのかを何日でも議論できることでしょう。しかしモードに関して漠然とした理解でも、ないよりはましであり、あなたの演奏に大いに役立ちますので、ご安心ください!

音楽的な耳を養う

どんな音楽でも演奏できるようになるコツは何でしょう? それは「聴く」に限ります。

音楽的な耳(モード、調号、調性を識別するのに役立ちます)を育てる最善の方法は、できるだけ多くの音楽を聴くことです。伴奏者の場合は、伴奏だけでなく曲そのものも聴く必要があるので、その負担は倍増します。

曲を知る

アイルランド音楽の伴奏は、曲を知ることが全てです。コード進行の暗記だけでは限界があります。伴奏する曲を理解することが重要です。

偉大な伴奏者の多くが、優れたメロディー奏者であることは偶然ではありません。曲のメロディーと構造を知らなければ、ハーモニーの作り方もわからないし、メロディーの特徴を引き立てる演奏もできません。

4つのコードだけを覚えて、どの曲の伴奏でも同じように弾くような伴奏者とは、誰も一緒に演奏したくはないでしょう。これこそ、伝統的なアイルランド音楽の伴奏における最大の注意点の1つです。

だから、できるだけ多くの録音を聴くことです。自分が好きな伴奏者の演奏を聴きましょう。好きではない伴奏者の演奏も聴いてみてください。あるスタイルに惹かれる理由は何なのか、そしてそれを再現できるようになるにはどうしたらいいのか、考えてみてください。


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アイルランドのピアノ伴奏

ピアノがアイルランドの伴奏楽器として登場したのは、1920年代以降のアイルランド伝統音楽の録音が最初です。古くから伝統には取り入れられていたのですが、ピアノの役割は時代とともに大きく変化しています。

アイルランドの伝統的なピアノ奏者には高い評価を得ている人がたくさんいますが、本当の意味でのアイルランドのピアノ奏法はまだ確立されていません。しかし、その結果、刺激的なアイルランドのピアノ演奏スタイルの数々が存在し、興奮とインスピレーションを与えてくれるのです。

アイルランドのピアノ演奏といえば、ミホール・オ・スーラボーンMícheál Ó Súilleabháinの名前が最初に思い浮かぶでしょう。この世界的に有名なヴィルトゥオーゾは、一目で彼だとわかる独自のピアノ演奏スタイルを確立しました。

クラシックとアイリッシュフォークを融合させたミホールのピアノ演奏は、名人芸ともいえるメロディー演奏を披露しています。彼の音楽的才能を否定することはできませんが、ミホールのピアノ演奏スタイルは、アイルランドのピアノ伴奏の例としては参考になりません。伝統的なアイルランド音楽の世界では、ピアノはメロディ楽器として使われることもあり、またそれが可能な楽器ですが、ダンス曲の伴奏に使われることの方が圧倒的に多いのです。

現在のアイリッシュ・ピアノ奏者の多くは、高い技術を持っており、あるスタイルから別のスタイルへ、メロディー奏者や伴奏者としての役割を難なくこなすことができます。アイルランドのピアノ演奏の真のマスターとして、偉大なミホール・オ・スーラボーンの弟子であるタグ・オ・マーシアTadhg Ó Meachairの演奏を聴いてみてください。

ケーリー・バンド

アイルランドの伝統的なピアノ伴奏をヴァンピングvampingと呼ぶようになったのは、アイルランドのケーリー・バンドがきっかけでした。

ダンスで演奏する場合、タイミングとリズムが最も重要であることはご想像の通りです。その結果、ピアノは、アンサンブルやジャズなどの他のジャンルの音楽でよく見られるように、バンドのリズムセクションの一部となったのです。その役割はメロディではなく、バンドの原動力となり、タイミングを保ち、脈打つベースラインでハーモニーの文脈を加えることでした。

この高度なリズムとコードによるピアノ伴奏のスタイルは、今日、伝統的なアイルランド音楽で広く普及しています。しかし、どのようにするのでしょうか?

ヴァンピングとは?

ヴァンピングの基本は、右手で3和音を弾き、左手で1つのベース音を弾くという、最も基本的な方法です。左手のベースは通常頭拍で演奏し、右手は裏拍でコードを演奏します。

左手は一般的に、上行・下行のメジャースケールに基づく、一種のウォーキングベースラインを特徴とします。下の図は、ニ長調のシンプルなリールの伴奏パターンの簡単な例です。


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鋭い方は、右手ではメロディ的にもハーモニー的にもあまり特別なことはないことにお気づきかもしれませんが、その通りです。そのステップについては後にまた紹介します。これは、ヴァンピングの最も基本的な形を簡略化したものに過ぎません。

アイリッシュダンスの曲の多くは、トニック(お酒の比喩ではありません。トニックとは音階の最初の音で、一般的には「ド」と呼ばれています)を基調としています。比較的シンプルなメロディーを繰り返すため、トニックコードであるI(またはド、どちらで呼んでも構いませんが、この例ではDメジャーコード)が、曲のかなりの部分で使われていることがわかります。

もちろん、これは曲によって、またメロディによって異なります。とはいえ、上記はピアノ初心者がヴァンピングの基本を理解するための素晴らしい出発点です。

さらにシンプルにしたい場合は、右手のコードをオープンDコード(つまりDとAの2音)に置き換えることで、リズムと左手の動きに集中することができます。


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もちろん、上記のように、あちこちで短い音のぶつかり合いがあるかもしれませんが、入門編としては、とても参考になります。曲の伴奏に最適なコードを選ぶには、その調号を知り、メロディーを知り、和声変化を特定する必要があります。これは練習すればできるようになります。

基本をマスターしたら、展開inversion(和声の組み合わせを変えること)やエクステンド・コード(3和音にさらに音を重ねること)、シンコペーションなどリズムの面白さにも挑戦してみましょう。しかし、ゆっくり始めることを恐れてはいけません。

アイルランドの伝統音楽は非常にリズミカルであるため、正しい演奏技術を身につけることがとても重要なのです。ピアノ伴奏の場合は、右手が重くならないようにして強いリズムで動くことを意味します。たくさん練習し、さらに聴き込むことで、すぐに自分のものにすることができます!

現代のアイルランドのピアノ伴奏

ケーリー・バンドの初期には、リズムが優先されていました。シンコペーションのない、安定したピアノ演奏が最も望まれました。つまり、拍子に合わせて演奏することで、「ウンパッ」とした感触を得ることができたのです。キャッスル・ケーリー・バンドCastle Céilí Band のブリディ・ラファティBridie Laffertyとキルフェノーラ・ケーリー・バンドKilfenora Céilí Bandのキティ・レナインKitty Lenaneは、アイルランドの伝統的なヴァンピングのエッセンスを体現した初期のピアノ奏者です。

しかし、アイリッシュ・ミュージックのアンサンブルが進化するにつれ、ピアノ・プレイヤーの役割は拡大し始めました。多くのミュージシャンがそうであるように、ピアノ奏者もクロマティシズム(半音移動/調の外から音や和音を加える)、シンコペーション(オフビートで演奏する)、エクステンドコード(たくさんの音を追加したコード)、オルタードハーモニー(わかりやすいコードをより興味深いコードに置き換える)など他の音楽ジャンルの要素を取り入れるようになりました。

また、少人数のアンサンブルの場合、ピアノ伴奏はリズムの役割に重点を置かず、よりメロディックな要素を取り入れることができます。今日、現代のアイリッシュ・ピアノ・ヴァンピングは、演奏者によってスタイルが異なる真の芸術です。音楽的な解釈、ハンドテクニック、コード進行の選択など、すべての要素が組み合わさって、個性的なスタイルが生み出されるのです。

インスピレーションを与える演奏家たち

アイルランドのピアノ奏者には、それぞれ独自の演奏スタイルを持っていて、インスピレーションを得るのに十分な人数がいます。無限にありそうなリストの中から、私の個人的なお気に入りをいくつか紹介します。

チャーリー・レノンCharlie Lennon

チャーリー・レノンは、有名なフィドル奏者であり、現存するアイルランド音楽の作曲家の中で最も多作な一人であることに加えて、ピアノ奏者としても熟練しています。彼の控えめな演奏スタイルは、より古い伝統的なスタイルの一例ですが、若干の違いがあります。

チャーリー・レノンは決して重苦たくはなく、軽快なタッチで高度なリズムを刻みながら、はっきりとした繊細さを表現しています。ここでは、伝説的なアイリッシュ・ボタンアコーディオン奏者のジョー・バークJoe Burkeとアン・コンロイ Anne Conroyとともに、ホーンパイプのセレクションを演奏しています。

カール・ヘッションCarl Hession

独自の演奏スタイルでリズミカルに演奏するカール・ヘッションは、まさに伝説の鍵盤奏者です。クラシック・ピアニストの訓練を受け、インプロヴィゼーションを得意とするカールのピアノ演奏は、セブンスコードやクロマチック・ムーブメントを巧みに使った少し強靭な印象を与えます。パーカッシブでリズミカルなスイングは、一目でそれとわかります。

以下、偉大なフランキー・ギャヴィンrankie Gavinの伴奏で、彼の演奏を聴いてみましょう。2分15秒あたりから、カールの半音階的な使い方の例を聴くことができます(特に左手のベース音に顕著です)。

ブライアン・マグラーBrian McGrath

ブライアン・マグラーは、アイルランドのピアノのもう一人の代表的な大使であり、最高のミュージシャンたちと共演してきました。DervishやFour Men and a Dogなどで活躍した彼の音楽的な功績をご存じでしょうか。

ブライアンのセンスの良いピアノ伴奏は、伝統的なヴァンピングのすべての要素を具現化し、現代的なひねりを加えています。リズミカルな彼のピアノ演奏は、音楽を支配することなく、音楽を牽引することに成功しています。フランキー・ギャヴィンとノエル・ヒルNoel Hillの伴奏をする彼を聴いてみてください。

ライアン・モロイRyan Molloy

ライアン・モロイは、モダンなアイルランドのピアノ演奏の模範的存在です。彼の豊かで革新的なピアノ演奏は、他のジャンルから様式的な要素を借りて、非常にメロディアスです。特に和声とコードの選択にその特徴が表れています。

現代の演奏家の多くが、他のジャンルの様式を盲目的に取り入れ、様々な成功を収めているのに対し、ライアンはアイルランドの伝統音楽を深く理解した上で、ニュアンスのある演奏を披露しています。伴奏者としての需要が高いのもうなずけるでしょう。

ここでは、アイリッシュ・フィドル奏者のファーガル・スカヒルFergal Scahillとサラ・マクヘイルSarah McHaleの伴奏を担当し、その名人芸を披露しています。

アイルランド音楽の伴奏 ギター

ピアノと同様、アイリッシュ・ギターの演奏にも統一されたスタイルがあるわけではありません。しかし、ピアノとは異なり、メロディー演奏にはあまり使われないのが一般的です。まあ、全くないとは言い切るわけではありません。アイリッシュダンスの曲を難なく弾きこなした故アーティ・マグリンArty McGlynnはその例外でしょう。その彼が、伝説的なポール・ブレイディPaul Bradyを伴って登場します。珍しいデュエットであることは否定できませんが、うまくいっていますね。

ギターは1920年代にアイルランドの伝統音楽の伴奏に使われるようになりましたが、人気が出始めたのは1960年代に入ってからです。

60年代の北米の偉大なフォーク・リバイバルの影響を受け、ギターはバラードやその他のアイルランド民謡の伴奏に普及しました。ドナル・ルニーDónal Lunny、ポール・ブレイディPaul Brady 、ミック・モロニーMick Moloneyといったミュージシャンが中心となり、新しい洗練された演奏スタイルが生まれました。

1970年代には、伝統的なアイルランドのダンス曲の伴奏にギターが広く使われるようになりました。新しいギター伴奏のやり方が生まれたのです。

スティール弦をプレクトラムで弾く、リズミカルでシンコペーションのある演奏スタイルが好まれました。これにより、明るく、響きがあるパーカッシブなサウンドが生み出されました。

ギターのチューニング – 標準チューニングとDADGADの比較

アイルランドの伝統音楽は非常にメロディアスであるため、伴奏には柔軟なアプローチが必要です。

一部のギタリストは、標準チューニング(EADGBE)で形成されたコードが、アイルランド音楽の本質にそぐわない和声的な硬直性をもたらすと感じます。より適切なギター・ヴォイシングを求めて、多くのアイリッシュ・ギター奏者は変則チューニングに目を向けました。

現在、アイリッシュ・ミュージックで最もよく使われている変則チューニングは、DADGADです。

DADGADとは?

DADGADはオルタネート・チューニングの一種で、ギターの弦がD、A、D、G、A、Dという音にチューニングされています。多くのアイリッシュ・ギター・プレイヤーは、よりオープンでモード的な性質のため、このチューニングで演奏されたコードのサウンドを好んでいます。

すでに述べたように、オープン・コードとは、3度を省略したコードのことです。この3番目の音によって、コードのサウンドがメジャー(ハッピー)かマイナー(ムーディー/悲しい)かが決まります。このオープンコード(3つ目の音が省略されたコード)は、メジャーでもマイナーでもなく、先ほどお話したような曖昧なモードサウンドを作り出します。これによって、曲の調性がより自由になります。

このように、DADGADチューニングは、メジャーキーやマイナーキーのルールに縛られることなく、アイルランド音楽の伴奏をすることができます。その結果、より自由で開放的なサウンドを生み出し、曲のメロディそのものを形作ることができるのです。

アイリッシュギターのチューニングはどれがいいのか?

よくギタリストの方から、アイリッシュギターを弾いたり、伝統的なアイルランド音楽の伴奏をするには、どのチューニングが良いのかと聞かれることがあります。残念ながら、これは非常に主観的な質問なので、明確な回答をすることはできません。どちらの演奏スタイルにも利点があります。

すでにスタンダード・チューニングで演奏しているギタリストは新しいシステムで勉強し直す義務はありません。例えば、アイルランドの伝統音楽における世界最高のギタリストの一人であるデニス・カヒルDenis Cahill は、スタンダード・チューニングで彼独自のスタイルを確立しています。

しかし、もしブズーキのようなモード的なサウンドがお好みであればDADGADはあなたが学ぶべきチューニングでしょう。

アイリッシュギター奏者から学ぶ

ピアノと同様、インスピレーションを得るにふさわしいアイリッシュギターの奏者には事欠きません。

アーティ・マグリンArty McGlynn

私がアイリッシュ・ギターの演奏について語り始めたとき、アーティの名前が最初に出てきたことにお気づきでしょうか。この2つは密接な関係にあります。アーティ・マグリンは、伝統的なアイルランド音楽の世界に輝く最も優れたアイリッシュ・ギター奏者の一人です。マスターギタリストである彼の遺産は、他の追随を許しません。

Planxty, De Dannan, Four Men and a Dog, Van Morrison, Liam O’Flynn, Nollaig Casey – Artyは最高のアーティストと共演し、伴奏者としての需要も高かったのです。力強く、リズミカルで、シンコペーションに富んだストラム(スチール弦にピックを使用)とメロディックな演奏で、アーティはまさにアイルランドギター演奏のスタンダードとなりました。ここでは、偉大なバンジョー奏者ジェリー・オコナーGerry O’Connorの伴奏をしています。

スティーブ・クーニー Steve Cooney

私が毎月発行しているアイルランド音楽のニュースレターを購読している方は、スティーブ・クーニーが2020年のRTÉフォーク・アワードのライフタイム・アチーブメントRTÉ Folk Awards Lifetime Achievementを受賞したことをすでにご存じでしょう。オーストラリア生まれのこのミュージシャンが、アイルランドのギター演奏の世界に与えた影響は、計り知れないものがあります。

クーニー以前は、弦楽器の伴奏者(ギタリストやブズーキ奏者)がジグやリールを伴奏する際に深みや和音的な色を提供していたものの、音楽の推進力や噴出するようなパワーはほとんどありませんでした。しかし、クーニーはそれを一変させました。

彼はバックビートを導入し、3連符triplets、スカールskirls,、ラリーrallies,、ストップ・スタートstop-starts、不可能なコードのめくるめくランなどdizzying runs of impossible chords、まだ誰もそのやり方を理解していないヴァナキュラーVernacularを紹介した。アイリッシュ・トラッド・ギターにおける彼の影響は、ロックにおけるヘンドリックスの影響に似ている。彼はハードルを上げてしまい、業界の人間はまだ追いついていないのだ
― マイク・スコット

もしあなたがスティーブの演奏に馴染みがなく他のミュージシャンの演奏と同じように聞こえるなら、それは彼が何世代ものギタリストに影響を与えたからでしょう。多くのアイルランド人ギタリストが、彼の影響力のある演奏スタイルを模倣しようと努力しています。

アイリッシュ・フィドルの名手、リズ・キャロルLiz Carrollとの共演で、彼の驚異的な演奏を聴いてみてください。エネルギーが伝わってきますよ。

ジム・マレイJim Murray

ジム・マレーは、アイルランドを代表するギタリストの一人です。多くのビッグネームと共演し、把握するのが難しいほどですが、無類のシャロン・シャノンSharon Shannonの伴奏をしているのをよく見かけることができるでしょう。

ジムは、現代のアイリッシュ・ギター伴奏の最高の要素をすべて体現しています。彼の演奏はリズミカルでパーカッシブでありながら、非常にメロディアスです。ジムのメロディー奏者としての才能が伴奏の技術に反映されていることは明らかです。彼は伴奏する音楽を深く理解しているのです。このことは、フルートとホイッスルの名手であるマイケル・マクゴールドリックMichael McGoldrickとの共演で容易に確認することができます。

デニス・カヒルDennis Cahill

シカゴ生まれのデニス・ケイヒルは、現存する最も偉大なアイリッシュ・フィドル奏者であるマーティン・ヘイズMartin Hayesの長年の音楽パートナーであり、今日の伝統的なアイリッシュ・ギター演奏の世界で最も有名な人物の一人です。デニスはギターの扱い方を熟知していると言っても過言ではありません。彼の演奏は、繊細さのマスタークラスです。

デニス・カヒルは繊細なギターの達人だ。カヒルは繊細に音楽を支える。それは曲調を維持するリズムであり、アクセントをつけ色付けするが、決して音楽を圧倒することはない。音楽に奉仕しパートナーに完璧に寄り添う見事な抑制である。
― NPR

カヒルの演奏にはジャズギターの要素が含まれていますが、伝統的なダンス曲から離れすぎているように感じることはないでしょう。マーティン・ヘイズと共演した彼の演奏では、二人の名手がお互いを完璧に引き立て合っています。

優れたアイルランド音楽の伴奏者になるための次のステップ

この記事を読んでインスピレーションを感じて、進むべき方向性を探しているのであれば、私のオンラインストアにある素晴らしいアイルランド音楽伴奏の教材をチェックする良い機会かもしれません。

書籍とCDのFoinn Seisiúinシリーズは、伴奏をする前にアイリッシュ・セッションの曲をブラッシュアップしたい人に最適な出発点となるものです。

ジェラルディン・コッターのSeinn an Pianoは、アイリッシュピアノの演奏を学びたい人のための初心者向けチュートリアルです。ソロのメロディー演奏が中心ですが、伴奏に関連したセクションがあり、様々なキーでのコード進行の包括的なリストが掲載されており、とても便利です。

また、Sarah McQuaidのThe Irish DADGAD Guitar Bookは、オープンチューニングでのアイルランド音楽の伴奏のすべてを教えてくれますよ。

最後に、ブズーキ奏者には、Chords for Irish Bouzouki.という便利なガイドがあります。

残念ながらMcNeela Musicにピアノは置いていませんが(スペースがないのです!)、アイルランド音楽を念頭に置いて特別に選ばれた、伝統的なアイルランド音楽の伴奏に最適なアコースティックギターが揃っています。

さて、何を待っているのでしょうか?今すぐ伴奏のブラッシュアップを始めましょう!次回のセッションの席を確保します。

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