バウロンについて Part2

バウロン奏者の上沼健二さんに、「バウロン」の選び方や練習方法、メンテナンスなどについて解説していただきました。

楽器の選び方

バウロンには口径や深さに色々なサイズがありますが、楽器選びに迷ったらアイルランドのMcNeelaの16インチ深胴をオススメします(ケルトの笛屋さんで取り扱っています)。

このバウロンは音量が大きいためセッションでもライブでマイクを当てても活躍してくれます。

バウロンの販売

バウロンにはチューニングができるものとできないものとがありますが、とにかく安いものが良いということであればノンチューナブル・モデル(チューニング機構を備えていないもの)をオススメします。

ノンチューナブル・モデルはチューナブル・モデルより性能は劣りますが、チューナブルの機構がない分だけ比較的軽く、湿度との関係など皮について学ぶことができますので、最初の1台としてはおすすめです。

なかでも口径の大きな18インチくらいだと、バウロンが登場した頃のサウンド感に近づくことができます。

チューニング

チューナブル・タイプのバウロンはスクリューをねじることで皮の張力を調整できます。

調整がうまく行き皮が全方向に均等に張られた状態であれば、手で裏側を押さえないフル・オープンで叩いたときに倍音の無い澄んだ音を出すことができます。

このような音を目指して耳を頼りに張り具合を合わせます。

最初はできる範囲までで問題ありません。

練習のしかた

打楽器経験者はある程度自分の経験則で練習していくことになりますが、必要とされるノリやテンポ感を得るということからも、まずはアイルランド伝統音楽のCDに合わせて叩くことをおすすめします。

メロディを聴いて覚えるとフレーズがうまくハマり出します。

自分の音を録音して聴き返すのもいいでしょう。

独学で行き詰まったときや、遠回りな練習方法を取り入れてしまうのが怖いとか効率的に学びたいという方は、先生を探してレッスンを受けることをオススメします。

先生が身近に見つからない方はOAIMのオンライン・動画レッスンもご検討ください。

ビーターの選び方

最初にバウロンを買う時にビーターが付属しているなら、それを使って練習を始めて問題ないでしょう。

一般的に付属しているのは、伝統的なずんぐりとした形の木のビーターです。

ビーターは適度な重さと太さがある方がストロークが安定し指が鍛えられます。

2本目のビーターを買うとすれば、直線的なロッド・タイプのものがオススメです。

細い竹ひごを束ねたものがルーツで、ジョニー・マクドナーJohny McDonaughの発明だと言われています。

木製のロッドは耐久性もよく、最初は太めのものにしたほうが消耗のリスクが少なくていいでしょう。

汎用性が高いサウンドが期待でき、近年このロッド・タイプのビーターがスタンダードなものになりつつあるようです。

やがてストロークが安定してくれば、細いものを手に入れハイピッチなサウンドを作っていきましょう。

こうして好みのビーターが定まってきたら、自分の手の大きさに合うものやほしいサウンドが出せるものを探してみてください。

好みのビーターを手作りできる人や加工できる人は、自作に挑戦してみると楽しいですよ。

いずれにしても最低でもビーターは3種類以上持っておくとサウンドの幅が広がって良いでしょう。

楽器の維持管理

あくまで楽器によりますが、半年に一度もしくは気温が変わる頃(1シーズンに一度)くらいのタイミングで表側の皮の状態を見て、乾燥気味なら各楽器メーカーが推奨している専用オイルもしくは100%天然系のオイルをガーゼなどに浸して薄く塗ると、良い状態を保てます。

オリーブオイルやココナッツオイル、ベビーオイルなどの人肌に使用するものも少量ずつ試してみても良いでしょう。

皮を柔らかくして打音をマイルドにしたい時にも利用できます。

楽器メーカーのアート・バウロンArt Bodhranのようにオイルなどのメンテナンスを推奨しないメーカーも増えてきているので確認が必要です。

主なトラブルシューティング

(1)皮が破れたとき・破れそうなとき

日本では梅雨の時期や雨の時など、湿度が高い時に皮の厚さに見合わないビーターで強打すると皮が伸びてしまったり、最悪の場合破れてしまう可能性もあります。

皮の張り具合は実際に練習しながら経験値を積むのが一番です。

著者自身はアイルランドで、雨天の湿度が高い日にパブで横に座った体格のいい男性が「いいバウロンだね、俺も叩くんだ、貸してくれない?」と言うので渡したら、ものすごい圧でかき鳴らし、ひどく皮がゆがんだ状態で戻ってきて、心もバウロンも凹んだ経験があります(笑)。

(2)ペグが動きにくいとき

機械系のオイルを注すると良いでしょう。

チューニングシステムはアナログな作りのものも多いので、限りなくクリーンなトーンを作れる可能性があるメーカーは、Art Bodhranか、ReBELLion drumsしか知りません。

(3)皮がガサついてきたら

クリームをなるべく早めに塗ると良いのですが、メーカーがクリームを塗ることを推奨しない楽器の場合は、あくまで自己責任になりますがハンドクリームなどをつけた手で時々さすると良いかもしれません。

(4)皮の汚れが気になる

裏面の手垢などの汚れはそのままにしていても問題はありませんが、気になる場合は湿らせた布に中性洗剤を軽くつけて、ポンポンと叩くように当てていくと汚れが取れます。

その後に、湿った布で同じ行程で叩いて仕上げると良いでしょう。

この作業の後は完全に乾くまで演奏しないでください。

なおオイルによるメンテナンスとクリーニングを同時にしてしまうと、乾くのが非常に遅くなるだけでなく、皮が緩み切ってしまう恐れがあるので注意が必要です。

また、水に濡らすこと自体を推奨しないメーカーもあるので確認が必要です。

(5)皮の張り具合が分からない

皮をパンパンに張る人やユルユルの人などいろんな奏者がいるので正解はありませんが、こんなに張りすぎたら破れるかな、これだけゆるい状態でこれだけきつく叩いたら歪みそうだな、という限界は知っておく必要があります。

著名な奏者の演奏の音程や音色をよく聴いて、その音に近づけられるようにチューニングを工夫したり、テクニックを身につけていくことで、少しずつ自分と自分のバウロンにとっての良い皮の状態を見つけていくことができます。

「皮を知る」。

これは太鼓奏者として楽器を扱う上で、最も大事なことです。

代表的な奏者

Johny Ringo McDonaugh

Junior Davey

Kevin Conneff

Tommy Hayes

Christy Moore

Colm Murphy

Jim Higgins

Aimee Farrell Courtney

John Joe Kelly

代表的な楽器職人

  • Paraic McNeela
  • Michael Vignoles
  • Christian Hedwitschak
  • Malachy Kearns

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