バンジョーについて Part5

バンジョー奏者の大倉さんに、楽器の維持管理やトラブルシューティングについて解説していただきました。

楽器の維持管理

楽器の取り回しと運搬

バンジョーは軽量な物でもギターより重く、またネックも長いため取り回しの際はなるべくポットも支える様にします。

ヘッドは強く張られているため多少力が加わっても変形しませんが鋭利な物をぶつけたり強い衝撃が加わると凹んだり破れたりします。

パブセッションのような狭い場所では十分に注意しましょう。

手持ちでの運搬ではそれ程意識する必要はありませんが、宅配や飛行機等どのように扱われるか分からない様な場合はヘッドへの衝撃が心配です。

こうした場合はブリッジを倒したり外したりする等して緩衝材を詰めておくと良いでしょう。

演奏後のケアと保管

特にギターと変わりません。

指板や弦、アームレスト等をクロスで拭き取ります。

弦も緩めた方が良いとされますが、バンジョーの弦の張力はギターに比べると小さいのであまり神経質にならなくても良いかもしれません。

バンジョーは丸いので壁に立てかけたりすると非常に不安定です。

リゾネーター付きの場合はギタースタンドによっては使えない場合があるので気をつけて下さい。

楽器を保管する際の湿度は50%が理想とされています。

極端に湿度が高くなったり乾燥したりする環境ではできるだけハードケースに入れ、調湿剤や乾燥剤で対応しましょう。

ブリッジの位置

バンジョーのブリッジは弦の力だけで固定されているので演奏後に弦を緩めたりするだけでも動いてしまう事があります。

鉛筆等で位置をマークしておくとすぐに位置を戻す事ができますが調整もできる様にしておきましょう。

ブリッジの位置はナットから12フレットまでの丁度倍です。

ただし弦高や各弦の太さとテーパーにより微調整が必要です。

各弦で12フレットを弾いた音と12フレット上を軽く触れて弾いた音(ハーモニクス)のピッチが一致するように前後に動かします。

動かす方向は押弦した音の方が低い場合はネック側、高い場合はテイルピース側です。

ネックのセンターラインに対して多少斜めになっても問題はありません。

その他コンディションの管理

出荷されたばかりの楽器や交換直後のヘッドはしばらくの間伸びて緩んでいきます。

たまに指で押したりして確認し、締め直しましょう。

ヘッドを締めるときはリゾネーターがあるならリゾネーターを外し、フックを少しずつ均等に締めていきます。

ある箇所から順番に締めるとテンションが偏るので一か所を締めたらその対向…という風に力のかかり方を意識する様にしましょう。

トラブルシューティング

チューニングが合わない/合っているのに曲を弾くとずれている感じがする

ブリッジの位置を確認しましょう。

ブリッジはある程度前後に傾くのでマークした位置にあるのに合わない場合はブリッジが傾いているかもしれません。

弦の太さを変えた場合やヘッドの張りを変えた場合は再調整が必要になります。

ブリッジを調整しても駄目な場合はネックに問題が起こっている可能性があります。

ヘッドが傷んでしまった

多少の擦り傷やコートの剥がれは問題になりません。凹みや破れがある場合は交換が必要です。

異音がする

弦が何かに触れている様な響きの場合はナットやブリッジの溝、ネックの反り、フレットの減りや浮き等が考えられます。

これらの問題はギターと同じですのでバンジョーを扱っている店でなくても相談できるかもしれません。

接着箇所の少ない楽器ですのでどこかのネジが緩んで共振している可能性もあります。

テイルピースとブリッジの間の弦が共鳴する事もあります。

その他トラブルが相談可能な楽器店

バンジョーについて専門的な取り扱いがあり、メンテナンスや相談ができるお店を紹介します。

大阪府

三木楽器アコースティックイン

滋賀県

くらま楽器

東京都

クロサワ楽器Dr. Soundアコースティック

ウッドマン

バンジョーに関する情報源

世界的には5弦が主流なので5弦バンジョーの情報に当たるしかありません。

テナーバンジョーの情報は少ないですがメンテナンスやカスタマイズの知識は5弦と共通です。

音色に関してもブルーグラスの情報が参考になります。

Banjo Hangout

Deering Banjo Blog

関連記事

https://celtnofue.com/blog/archives/6862

https://celtnofue.com/blog/archives/7769

https://celtnofue.com/blog/archives/7834

https://celtnofue.com/blog/archives/8115