ケルトな年末年始「ブルターニュのクリスマスの風習」

ライター:オンラインショップ 店長:上岡

ブルターニュはフランスにあるケルト文化圏です。

歴史的にはフランスの中心部(王様とかが住んでたあたり)からずいぶん離れた辺鄙な土地だったので、ちゃんと管理もされず半ば荒地っぽくなっていたところに、英国で激しい嫌がらせを受けたケルトの人たちが移住してきて町を作ったと言われています。そんなわけで、アイルランド、スコットランドに負けず劣らずとても濃いめのケルト文化を残しています。

今日はそんなブルターニュから、今は失われてしまったけど、ひと昔(場合によってはふた昔)前まではクリスマス・年末年始時期に親しまれていた古き伝統を紹介します。

ブルターニュのクリスマスのメインイベントは「丸太」、ブルターニュの言葉で言う「ケフ・ネデレグ」です。

大きな大きな丸太を見つくろってきて、各家の暖炉でそれを燃やすのが慣わしでした。

また、子どものいる家庭では、その年の良い行いに報いる贈り物を届けるために、煙突から「イエス」が舞い降りると言われていました。(サンタさんじゃない…!)

イエスさまに汚い煙突から入っていただくわけにはいかないので、みんなしっかりと煙突掃除もしました。

この丸太に点火をするのは12月24日の真夜中、クリスマスのミサに参加する前と決まっています。そして、この丸太には、だいたい1月6日ぐらいまで燃え続けてもらわないといけなかったのです!

つまり、しょぼしょぼの丸太を持って帰っていたら、1月6日どころか、12月25日には燃え尽きるでしょう。なので、しっかりと2週間ぐらいは燃え続けそうな丸太、ケフ・ネデレグを探すことがとても大事なことだったのです。

そうやって長時間に渡って燃やされた丸太の灰には、いろいろハッピーな効果があると信じられていたので、捨てずにそれらをまとめて、ベッドの下などに置かれていたそうです。(盛り塩的な)

この丸太を燃やす風習の起源は、バイキング時代の北欧から来ていると言われています。そして、丸太の形をしたケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」の元ネタはそのこれらの風習を元にしているようなので、ブルターニュの人がそのケーキを見たら「お、ケフ・ネデレグじゃん!」となるのかもしれません。

また、ケルト文化、キリスト教文化が入ってくるより前からあった風習とくっついて、ユニークな伝統になっていたこともありました。

たとえば、りんごの木の周りに藁で作ったリースを飾っていました。これは、どことなく日本のしめ飾りを彷彿とさせますね!

そして、真夜中のミサの間、厩舎の動物がめっちゃしゃべっていたと信じられていましたし、クリスマス期間(現在の12月1日〜25日ぐらい)神父さんが神様から与えられた特殊スキル「動物変身能力」がミサの終了と共に使えなくなった、なんて言い伝えもあります。果たして神父さんは動物に変身してどんなことをしてたのでしょうか。なかなかファンタジー色が強いですね!

また、ミサから帰った後に、家畜にパンをあげて優しくすることで、翌年に噛まれない様に願った、などなど動物にまつわる風習が多かったみたいですね。

こういった伝統はいまではほとんど失われていて、今のブルターニュの人たちは一般的なクリスマスの祝い方をしています。(ちょっと残念)