続・チューンのレパトワ(レパートリー)を増やす:松井ゆみ子

ライター:松井ゆみ子

前回のわたしのコラムは言葉足らずで、hataoさんから興味深いご質問をいただきました。詳しくはhataoさんのコラムをお読みくださいね。エクスキューズ(言い訳)も含めて、今回は前回の続きでいきます!

※現在、増やしているレパトワについては最後の方に入れていますので、長めの原稿に飽きちゃったら先に進んでください〜。

マーティン・ヘイズの言葉を借りて「ひとつのチューンがちゃんと弾けないうちは、いくらレパトワを増やしても無駄」と書いたのですが、hataoさんからスルドイご指摘。「どこまで弾けたら『ちゃんと』なのか」。

失礼しました。マーティンはビギナーをはじめ上達を目指す人への忠告をしたのだと思います。

さらに、これは特にフィドルを学ぶ人たちへの忠告であること。どの楽器もそれぞれにむずかしさがありますが、フィドルの難点のひとつは弦を押さえる位置が1ミリ(それ以下でも)ずれれば音が狂うこと。弦の正しい位置を正しいタイミングで押さえるのは基本中の基本で、まずこれができて初めてチューンと向き合えるわけです。でも、家でゆっくり弾いている分には「ちゃんと」できていても、セッションなどで速いペースになると、焦って指の位置がずれることもしばしば。これがねー、シャクなのよ。これでまた「ちゃんと弾けているかどうか」の境目に引き戻されます。

もうひとつの難点というか壁というかがボウイング。これがモタつく限り先へ進めません。

レッスンなどで強く言われるのは、リズム。メロディはいずれ覚えて矯正していけますけれど、チューンごとのリズムは最初にたたきこまれます。どこに強弱がつくか。

サマースクールのクラス分けレベルチェックでよく聞かれるのは「いくつ、リールのチューン知っている?」これは他の楽器も同じかしら?オーナメンテーションができるかどうかは、弾いてみればすぐバレるので、そこでどのくらい習っているか判断されます。シビアー。

でも最近、あるベテラン女性フィドラーは、ほとんどオーナメンテーションを使わなかったと聞き、目指すはそこだ!と思ったものです。リール。これも一生弾くつもりはなかったのですが、セッションに参加するようになって、そうもいかなくなってきており。先輩諸氏、リールが大好き。

話を戻して、ボウイング。これが身についていないうちはリールを覚えても、ちゃんと弾けないわけです。新しいチューンを学ぶことは、楽しいしエキサイティング。特に楽器を習いたての時分は、レパトワが少なくて練習していても飽きちゃうし。先に進みたい気持ちが強いときだと思います。

マーティン(に限ったことではないのですが!)の忠告は、そういう心理に対する警告だと思うのです。

hataoさんが書かれているように、チューンの背景やエピソードを知ることは、チューンの意味合いに思いを寄せて演奏するために大切なことです。

幸い、わたしの地元のヴィレッジには歴史オタクがたくさんいて、特にスライゴー・チューンにまつわる話はたくさん聞くことができます。去年参加したドニゴールのフィドルウィークでは、すべてのチューンにまつわる話、引き継いだフィドラーたちの話をたくさん聞けて、確かにそのとき教わったチューンはことさらに思い入れがあって、弾く楽しさは格別。

セッションに参加するうちに自然と増えたレパトワは多いです。hataoさんが書かれていたように、練習したことないのに弾けてたチューンも。すりこみ状態にあったのかな。たとえば、Cooley’s などはそのひとつ。定番マッチングのThe Wise Maidはつい最近、練習仲間との特訓で弾けるように。

すでにレパトワのチューンたちをセットにしている映像を発見!これは参考になります。グルーヴもサイコー。
 

セッションで演奏されることは滅多になさそうなこのチューン。どうしても弾きたかったので、新たな個人的レパトワ。

去年、このチューンのタイトルになっているシチュエーションを現実に見てしまった。そのトラウマを笑いで払拭したくて覚えました。