ライター:松井ゆみ子
今更ながらですが、とてもユニークかつ才能あふれる若手グループ、Skipper’s Alleyを紹介したいと思います。すでに、このメルマガを主宰しているhataoさんが何年も前に紹介記事を書いていらして愕然。うかつにも、わたしは長いことスキッパーズをスルーし続けていました。高い評価を得ていることも知りながら。
デビューはもう10年以上前のことで、当時わたしは彼らのことを「実力はありながらも、まだ無名の若手ミュージシャンたちが集まった、いわばショウケース的なグループ」ととらえていました。メンバーも流動的だったし、バンドとしてのカラーも見えづらかったし。
近年はメンバーそれぞれがソロ活動を始めていて、各自が表舞台で注目を集めています。ああ、やっぱりスキッパーズはショウケースの役割だったのだ。と納得していたのですが、さにあらず。たまたま夜中に見つけたこの映像。朝まで一気に見入ってしまいました。ゲール語専門局の番組なので、残念ながらMCはわかりませんけど、スキッパーズの核であるメンバーのキャラクターは読み取れます。
左側がジョン・フランシス・フリンJohn Francis Flynn。Lankumとのツアーなどでソロ活動の地盤を築いている彼は、フォークミュージック寄りですが独自のサウンド作りをしています。音源はのちほどご紹介しますね。
このライブで中心になっているのは、ゲール語ネイティヴのオーエン・オキャノボーンEoghan O’Ceannabhan。ジョン・フリンの向かって右隣のお相撲さんみたいな青年。父親はコネマラ出身のシャンノースシンガーなので、てっきりオーエンもコネマラに住んでいるとばかり思っていたらダブリンっ子。英語のオリジナル曲も歌いますがシャンノースシンガーとして認知されています。まずはデビュー曲から。サポートミュージシャンは現デ・ダナンのメンバーです。
内容が若干ポリティカルなのは、彼がPeople Before Rrofitという環境や人権問題に取り組む政党の党員でもあるから。今年の地方選挙でかなりいいセンまでいったのに惜しくも2位で議席を逃したばかり。でも、もう少しツアーしたりする時間ができるかな?と密かに期待しているのですが。4月に観たコンサートがあまりに素晴らしかったので。ゲール語のチューンをお聴きください。
かっこいいでしょう?
さて、ここでジョン・フランシス・フリンのチューンを。まずはかなりラディカルなアプローチをしているこの映像から。
フィドルの小松大さんが「好きです。ときどき聴いています」とおっしゃっていて、かなりびっくりしました。なんか結びつかなくて。でも、ゆっくりと、小松さんの新たな側面を垣間見た感じ。(合ってます??)ジョン・フリンはフルート奏者でもあります。大好きなこのチューンを演奏していて小躍り。”John Doherty’s”(訂正:正しくは「O’Neill’s march」でした)のタイトルで覚えていたので”Tralee Gaol “とタイトルされていたのが新鮮でした。
ジョン・フリンのコンサート、9月にベルファストへ観に行く予定です。超楽しみ!彼はバンジョーのパディ・コミンズ(Paddy Cummins)とのコラボが多く、オフィシャルヴィデオにもしばしば登場。必見です。
パディは今ドニゴール在住らしく、現地の人気番組に出演していました。この番組、大好き!
パディは三味線の影響を受けているのでは?と思っているのですが。いつか本人に聞いてみたい。彼はyoutubeでバンジョーとマンドリンのレッスンしています。マンドリンを試してみたのですが、教え方が素晴らしい!導かれるようにして、チューンひとつ弾けるようになりますよっ!
フィドルのウルタンまでたどりつけなかった!ウルタン・オブライエン(Ultan O’Brien)。オーエンともジョン・フランシスともいろいろコラボしているのですが、彼自身のライブがなかなか見つからなくて。ミステリアスなフィドラーです。
最後に若い頃のスキッパーズの映像を。
ジョンのホイッスル、笙みたいに聞こえます。大学のサークルみたい(微笑)。 演奏はちゃんとしていますが!
でも、ここから今の彼らに至るのが素晴らしいと思うのです。