【店長、ケルトの国でのんびりする】コラム「え、まだ続くの?ブルターニュ音楽 vol.2」【ブルターニュ音楽の二本柱は「歌」と「踊り」】

ライター:オンラインショップ 店長:上岡

そんな感じで「歌」が衰退の危機を迎えたところで、ここでブルターニュ音楽・二本柱の「踊り」を見てきましょう。

ブルターニュはアイルランドなどと同じ農業社会でしたので、基本的に毎日毎日ハードな肉体労働をされてます。

アイリッシュの人たちは、仕事終わりに仲間で楽器を持ち寄りセッションをしていた、というのはとても有名な逸話ですが、ブルターニュではそういった記録を見つけられませんでした。

ということは、ブルターニュの人たちが演奏したり踊ったりできる機会というのは、限られていました。

その分、その限られた日には思う存分踊るんや!という強い心意気があったんじゃないかなと想像しています。

じゃあ、ブルターニュ農民はどんな時に思う存分踊れるのか、それは何かしらのイベントの日です。

たとえば「結婚式」、「新築祝い」、「農作業で節目を迎えた時」、「一年の農作業が終わった後のお祭り」、「宗教的なイベント」、それだけでは足りない場合は「誰かの家が修理する時」なんかにも踊ったりしてたようです。

どうやらブルターニュでは、「楽器を弾きたいから集う」というよりは、「踊りたいから楽器を弾ける人集める」というニュアンスが強そうですね。

そしてダンス中の演奏で大事なこと、それは「音が届くこと」です!

だって、エレガントで繊細な超美しい演奏をしていただいても、踊ってる人の耳に届かなかったら、それは踊ってる人からすると「無音」です。

「おまえさん、そんなことではダンス音楽の伴奏は務まらん。もっと音のでっかい楽器を持って来ておくれやす」と、白羽の矢が立ちまくったのが爆音でお馴染みの「ビニウ・コーズ」と「ボンバルド」だったんですね。

では、二本柱の「歌」と「踊り」は接点があるのでしょうか?

当然ながら、接点ありまくりです。

歌も踊りに合わせて進化しまくっています。

その中でもブルターニュ伝統音楽の中で有名なのが「Kan ha diskan(カン・ハ・ディスカン)」という歌唱方法です。

想像してほしいんですが、みなさんがお風呂場とかで歌っていたとして、当然どこかしら良きタイミングで息を吸いますよね?そして、その息を吸ってる間、歌が止まっちゃうのは当然です。

でも、ブルターニュの踊り手さんたちは厳しいんですよ。

「ちょっとさぁ、せっかくこっちで盛り上がってんのに、勝手に息吸って歌を止めないでくれる?」という、まあまあな上級レベルのいじめっ子キャラが出てきましたが、踊り手の要望はこの通りです。

でも人間ですから、息継ぎなしで歌い続けることはできません。

そんな無理難題を受けて編み出されたブルターニュ式必殺技が、この「Kan ha diskan(カン・ハ・ディスカン)」です!

この動画はとってもわかりやすいのですが、複数人の歌手が集まりまして、交代しながら歌います。

ポイントは、誰かの歌い終わりの「単語」を、次に歌う人が一緒に歌うこと。そこでピッチや歌声の雰囲気を合わせて、その次のフレーズから、スムーズに別の歌い手さんに交代する、という手法です。

日本の歌で考えると「うさぎ追いしかの山」の「山」の部分が「同時に歌う部分」になる感じでしょうか。

そして、次の歌手の人が「こぶな釣りしかの川」を歌う。ここでは「川」を次の歌手の人と一緒に歌って、1フレーズずつ、もしくはいくつかのフレーズずつを持ち回りで担当するイメージです。

これにより、難題をふっかけてきた踊り手さんも「エンドレスで歌ってくれてありがとう!」となりますし、歌い手さんも歌いながら息絶えるという最悪の事態を避けることができたわけです。

次で終わります!!