ロンドンから車で4時間ほど西に走ると、見慣れない文字の看板が目に飛び込んできます。
子音のアルファベットばかりで読み方が想像すらできない言葉……そう、ここはもうウェールズ。
「イギリス」の中の外国です。
私たち日本人が慣れ親しんだ「イギリス」や「英国」という言葉は、実は中国や韓国を含む東アジアの国で使われる独特な呼び方で、英語ではThe United Kingdom(以下、UK)といい、「連合王国」を意味します。
連合王国に含まれる4つの国々のうち、ロンドンやオックスフォードを含むイングランド以外のウェールズ、スコットランド、北アイルランドは、ケルトのルーツを持つケルトっ子たちの国なのです。
それらのケルトの国では英語ではないそれぞれの言語を持っており、中でもウェールズは、ウェールズ語を日常的に使う人が今なお多い国です。
ウェールズの伝統文化 UKの国々の中で、ウェールズは最も早く13世紀にイングランドに征服されました。
地理的にもイングランドの首都ロンドンに近く、文化的にはイングランドの影響を強く受けています。
それにも関わらず、人々は言語を民族の拠り所として大切にしてきたため、現在でも国民の約20%の人がウェールズ語を使うことができ、地域によっては日常的にウェールズ語を使うため小学校まで英語を習わない場所もあります。
また、ウェールズは「歌の国」と言われており、合唱、特に男声合唱が盛んです。
壮大なヴォーカル・サウンドが人気のグループ「アディエマス」のプロデューサー、カール・ジェンキンス Karl Jenkins氏もウェールズ人です。
ウェールズ音楽は、ヨーロッパの他の国の伝統音楽と同じく19世紀の産業化の中で忘れ去られて衰退しました。
しかし20世紀後半になってリヴァイバル運動が起き、見直されるようになりました。
現在では数多くのバンドや演奏者が活躍し、CDも活発に発表されています。
また、伝統音楽のフェスティバルや講習会も毎年開催されています。