木村穂波さんのアコーディオンレビュー後編


アコーディオン奏者の木村穂波さんに、ケルトの笛屋さんで取り扱っているアコーディオン7機種を試奏・レビューしていただきました。

前半はこちら

https://celtnofue.com/blog/archives/7713

後編では下記3機種のレビューをご紹介します。

※ウェット / ドライ
アコーディオンは1音に対して複数のリードが同時に鳴るのですが、各リードの音がきちんと揃ってすっきりしたものは「ドライ」、音程を意図的にずらして音の「うなり」を発生させて音色にインパクトを与えたものは「ウェット」といいます。

Garvey TAM2

木製ならではの曇りもある、温かく優しいドライサウンドを持つ。

しっとりとした響きは、他の楽器と溶け合い、そして寄り添うような音楽を目指したい人にぴったり。

他の木製に比べると右側のメロディボタンが低めなので、コンパクトな運指が可能。

メロディ部に比べると左側のベース部の音の鳴りが良すぎるため、鳴らしすぎないようにコントロールしながら演奏することが求められる。

高音が少し鳴りづらく感じる。

※コード部分:メジャーチューン向き。マイナーチューンには向いてないかも。


Garvey TAM2 B/C ボタン・アコーディオン

Saltarelle The Irish Bouëbe

明快で芯があり、ハキハキよく通る声を持つドライアコーディオン。

蛇腹とリードの反応がとてもよく、少ないパワーでしっかりした音量を出せる。

また、テクニカルな細かい動き、早いテンポの曲、複雑な装飾音も、全てこなせるハイスペックな楽器。

初心者の方でも、音を出す喜びがすぐに感じられそう。

23ボタンのためカバー音域が広く、多様なチューンに対応できる。

右側も左側もボタンが高いので、タッチ慣れするのに時間がかかるかもしれない。

※コード部分:ボタンの開閉によってメジャーチューン/マイナーチューンどちらでも対応できる。


Saltarelle The Irish Bouëbe B/C アコーディオン

Saltarelle Irish NUAGE

リードの枚数を変更できるボタンが右側に3つ、左側に2つあることから、ダイナミックなソロスタイルから他の楽器との溶け合いを楽しむスタイルまで、すべてをカバーできる強者アコーディオン。

木製ならではの暖かさを持ち、ウェットサウンドもドライサウンドも1つの楽器で楽しめる優れもの。

しかし、パーツの多さや木製であることから、他の機種よりひときわ重いのが難点。

また蛇腹の開閉が早いため、空気ボタンをうまく使ってコントロールできるようになるまでに時間がかかりそう。

※コード部分:ボタンの開閉によってメジャーチューン/マイナーチューンどちらでも対応できる。


Saltarelle Irish NUAGE アコーディオン