ライター:ネットショップ 店長:上岡
今回はアイリッシュの伝統曲として実はとっても人気がある「モリー・マローン」という歌を紹介します!
実際に演奏を聴くと、知っている方も多いかもしれませんが、この曲は特にダブリン市民に愛されていて、なんなら非公式の市民歌だ!とも言われています。
では、どんな歌なのか、まずは演奏をお聴きください!
モリー・マローンというのは、人のお名前です。
モリーさんは魚屋さんの女性で、その昔(17世紀ごろと言われています)ダブリン市内を、手押し車を押して魚や貝を売っていました。
「新鮮なザルガイとムール貝だよ!新鮮だよ!」
彼女の声がダブリンに響いていましたが、気の毒なことに、熱病に掛かって、若くで亡くなってしまいます。
そんなことが歌詞で語られます。
それでは、歌詞をざっくり見てみましょう。
かわいい少女が住んでいる素敵な町ダブリン
最初にモリー・マローンを見かけた時、
手押し車を押しながらあらゆるとこに出向いて
こう叫んでた「新鮮なザルガイとムール貝だよ!新鮮だよ!」
彼女は魚売り
だって彼女の両親も魚売りだから手押し車を押しながらあらゆるとこに出向いて
こう叫んでた「新鮮なザルガイとムール貝だよ!新鮮だよ!」
熱で亡くなったモリー
誰も救えなかった
そんな最後を迎えたかわいい彼女だったけど
彼女の幽霊が手押し車を押し続ける手押し車を押しながらあらゆるとこに出向いて
こう叫んでた「新鮮なザルガイとムール貝だよ!新鮮だよ!」
意外な展開で、幽霊が登場しましたが、これはもちろん呪怨とかリング的なやつじゃないと思います。
もっと、愛らしい思い出的な幽霊じゃないでしょうか。
さて、こちらの曲も他の多くの伝統曲と同じく、同じメロディに色々な歌詞を乗せて歌われています。
なので、出自は明確にはわかっていませんが、現在このメロディを確認できる一番古い文献は1884年、ジェームズ・ヨークストンというスコットランドの作曲家が作った歌でした。
これまでのシリーズで触れたのですが、いいメロディが広まると、いろんな作詞家や詩人がそのメロディに歌詞をつけて、なんなら別の曲名をつけて発表したりするのがよくあることだったそうです。
この魚屋さんで若くして亡くなってしまったモリーさんバージョンの歌詞を誰が書いたのかは不明ですが、このモリーさんが実在した説と、創作説の2つがあります。
実在した説のみなさんによると、1699年6月13日が彼女の亡くなった日なので、モリーさんの日としているそうです。
ちなみに、このメロディでモリーさんのことを歌ってはいるけど違う内容の歌詞のバージョン(ちょい古版)も見つかっていて、その歌詞の中では漁村であるハウス(町の名前)から市内に来ていたモリーさんという内容なので、魚を売りに来ていそうなニュアンスが入っているようです。
ただ、他の内容にはまあまあの違いがあるようなので、そのあたりで、創作じゃないかしら、と主張する方もいる、というお話です。
ただ、創作であれ実話であれ、こうしてひとつの歌でダブリン市民が心を一つにして熱唱できる、そういったパワー・魅力がこの歌にはある、ということは誰にも否定できませんね。
今回はそんな若くして亡くなってしまったけど、幽霊になってまでダブリンのみんなに新鮮な魚(主に貝)を届けようとしたモリーさんの歌の話でした。